「ほうれい線にヒアルロン酸を打てば解決する」——実はそれだけでは不十分なケースがあります。

ほうれい線の原因について詳しく解説し、以下の内容をお伝えします:

  • ほうれい線ができる2つの原因と、ヒアルロン酸が効く・効かないケースの違い
  • 論文が示す「引き上げる」という別のアプローチ
  • 臨床研究で改善効果が報告された施術の詳細データ
  • 安全性・ダウンタイム・効果持続について知っておくべきこと

ほうれい線が気になり始めると、多くの方がまず調べるのがヒアルロン酸(皮膚の水分を保持する成分)注射です。手軽で即効性があるイメージから、人気の選択肢のひとつ。そのため、「なぜほうれい線ができるのか」というメカニズムまで調べる方は、意外と少ないのが現状です。原因を知ると治療の選び方が変わってくるかもしれません。

ほうれい線はなぜできる?ヒアルロン酸だけでは補えない理由

ほうれい線の主な原因は、大きく2種類に分けられます。

  • 皮膚のボリューム減少:コラーゲンやヒアルロン酸が減り、肌がへこんでシワが目立つ
  • 皮膚・脂肪のたるみ・下垂:重力と組織の老化によって顔全体が下方向へ落ちてくる

ヒアルロン酸注射は、へこんだ部分を「埋める」ことが得意な施術です。そのため、ボリューム不足が主な原因のほうれい線には効果が期待できます。

一方で、たるみや下垂が主な原因の場合、埋めるだけでは表面的な改善にとどまり、根本的なアプローチにならないことがあります。ここが、多くの方が見落としがちな点です。

たるみによるほうれい線にはどんな選択肢があるのでしょうか。

論文が注目する「切らないリフトアップ」糸リフト(スレッドリフト)とは

近年、医学論文でも研究が進んでいるのが糸リフト(スレッドリフト)と呼ばれる施術です。皮下に細い吸収性の糸を通し、たるんだ組織を物理的に引き上げる低侵襲な治療法です。

切開を伴わず、カニューレ(細い管)で糸を皮下に通すため、傷跡が残りにくく回復も比較的早いとされています。そのため、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えたい方に適した選択肢として注目されています。

では、具体的な臨床データはどうでしょうか。

「改善効果を確認」3D画像解析で裏付けられた研究データの詳細

韓国の皮膚科医らが実施した臨床研究(Kwon H, et al. Dermatologic Surgery. 2019)では、バーブ(小さなとげ状の突起)付き吸収性ポリグリコネート糸を用いた糸リフトを25名に施術し、効果と安全性を検証しました。

この研究では84%の患者で改善が報告され、65%で大幅な改善が確認されました。ただし、これらの結果には個人差があり、すべての方に同様の結果が期待できるわけではありません:

  • 医師評価で84%の患者が「改善以上」と評価(5段階のGAIS評価スケール使用)
  • うち65%が「大幅に改善」以上と評価
  • 患者自身の自己評価でも同様の傾向が確認された
  • 施術中の痛みスコアは平均3.8点(10点満点)と比較的穏やかだった

そして注目すべきは、効果の「見える化」です。3Dカメラによる画像解析によって、下顔面(フェイスライン周辺)の組織が施術後に上方へ移動したことが数値で確認されました。「なんとなく引き上がった気がする」ではなく、研究データによる報告があります。

これはあくまでも研究データであり、実際の効果には個人差があります

安全性とダウンタイム気になるリアルなデータ

「糸を入れるって怖くない?」「ダウンタイムが長いのでは?」という不安もよく聞かれます。

前述の研究によると、副作用として内出血(72%)や浮腫(腫れ、56%)が報告されましたが、いずれも2週間以内に自然消退しました。神経損傷や肉芽腫(異物反応による組織変化)などの深刻なトラブルは1例も報告されませんでした。

また、別の研究(Kapicioğlu Y, et al. Dermatologic Surgery. 2019)では、糸リフトによるコラーゲン産生への影響が組織学的に検討されました。

糸の周囲にコラーゲンが産生されることが示されており、リフトアップだけでなく皮膚の質感にも好影響を与える可能性があると考えられています。

施術後の注意点として、2週間は大きく口を開ける動作(あくびや大笑い)やフェイスマッサージを控えることが推奨されています。また、効果の持続は個人によって差があり、使用した吸収性糸は糸の種類や個人差によりますが、本研究で用いられた糸は約6か月程度で吸収されます。より持続期間の長いPLLAやPCLといった素材もあります。

ヒアルロン酸を使った施術全般の特徴については、ヒアルロン酸で鼻を整形するメリットと安全性を解説もあわせてご参考ください。

ヒアルロン酸と糸リフトどちらを選ぶかの考え方

ヒアルロン酸注射と糸リフト、どちらが「正解」というわけではありません。それぞれ異なるメカニズムで効果を発揮するため、お悩みの原因によって適切な選択肢は変わります

  • ヒアルロン酸注射が向いているケース:ボリューム不足によるへこみが主な原因の場合
  • 糸リフトが向いているケース:たるみ・下垂が主な原因で、組織を引き上げたい場合
  • 組み合わせが検討されるケース:ボリューム不足とたるみの両方が関係している場合

「自分のほうれい線の原因はどちらなのか」について、セルフチェックだけでは判断が難しい部分があります。そのため、一度専門家に状態を確認してもらうことで、参考になる情報を得られる可能性があります。

当院では、お一人おひとりの状態を確認したうえでご提案していますので、カウンセリングでご相談いただけます。施術の種類については施術メニュー一覧もご覧いただけます。

よくある質問(FAQ)

糸リフトの効果はどのくらい持続しますか?

糸の種類や個人差によりますが、本研究で用いられた糸は約6か月程度で吸収されます。より持続期間の長いPLLAやPCLといった素材もあります。そのため、効果の持続には個人差があり、複数回の施術で維持するケースが一般的です。

糸リフトはどんな人に向いていますか?

軽度〜中等度のたるみ・皮膚弛緩がある方に適していると考えられています。研究ではほうれい線・マリオネットライン(口角から顎に伸びるシワ)・フェイスラインの下垂が適応基準とされました。

ダウンタイムはどのくらいですか?

内出血や腫れが出る場合がありますが、研究データでは多くが2週間以内に自然に落ち着いたとされています。また、施術後2週間は大きく口を開ける動作やフェイスマッサージは控えることが推奨されています。

切る手術(フェイスリフト)と何が違いますか?

切開を伴わず、カニューレ(細い管)で糸を皮下に通す低侵襲な施術です。そのため、傷跡が残りにくく、回復も比較的早いのが特長です。一方で、重度のたるみには外科的な施術が検討される場合もあります。

施術後に皮膚のキメや毛穴も改善しますか?

糸周囲に生じるコラーゲン産生が関係していると考えられていますが、結果には個人差があります。

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まとめ

  • ほうれい線の原因は「ボリューム減少」と「たるみ・下垂」の2種類があり、原因によって適切なアプローチが異なる可能性があります
  • ヒアルロン酸注射はボリューム補填に有効な一方、たるみが主な原因の場合は「引き上げる」施術が有効な場合があります
  • 臨床研究(Kwon et al., 2019)では、糸リフトで高い改善効果が確認されました
  • 副作用は内出血・腫れが多かったものの2週間以内に自然消退。重篤な合併症は報告されませんでした
  • 自分のほうれい線の原因が何かを知ることが、最適な施術選びの第一歩です

Zetith Beauty Clinicでは、お一人おひとりのたるみの状態やご希望に合わせた糸リフトのご相談を承っています。「切らずにフェイスラインをすっきりさせたい」とお考えの方は、カウンセリングでご相談ください。一人ひとりのお悩みに合わせてご提案しています。

中村 宏光

この記事を書いた人

中村 宏光 医師

Zetith Beauty Clinic 銀座・大阪・福岡

日本国内および国際学会での研究発表実績を持ち、Zetith Beauty Clinic全体の技術指導・教育にも携わる。解剖学的根拠に基づいた精密な鼻整形を専門とし、一人ひとりの骨格や組織に合わせた自然な仕上がりを追求している。

参考文献

  1. Kwon H, Choi S, Park G, et al. Clinical Evaluations of a Novel Thread Lifting Regimen Using Barbed Polyglyconate Suture for Facial Rejuvenation: Analysis Using a 3-Dimensional Imaging System. Dermatologic Surgery. 2019 (DOI)
  2. Kapicioğlu Y, Gül M, Saraç G, et al. Comparison of Antiaging Effects on Rat Skin of Cog Thread and Poly-l-Lactic Acid Thread. Dermatologic Surgery. 2019 (DOI)
  3. Kang S, Byun E, Kim H. Vertical Lifting: A New Optimal Thread Lifting Technique for Asians. Dermatologic Surgery. 2017 (DOI)