埋没法の"種類"で、二重の持ちは3倍変わる。
二重整形を検討する際、「糸の数が多いほど長持ちするのでは?」「2点留めより3点留め、4点留めの方が取れにくい?」と思うかもしれません。しかし、実は糸の本数よりも「どの術式(種類)を選ぶか」の方が、二重の持続力や仕上がりにおいて決定的な違いを生み出します。さらに、埋没法の進化は目覚ましく、最新の技術では切開法に匹敵するほどの持続力を持つ手法も登場しています。本記事では、最新の医学論文などのデータに基づき、埋没法の仕組みから、各術式の特徴、そしてあなたに最適な埋没法の選び方を徹底解説します。
埋没法とは——まず「糸で留める」仕組みをおさらい
生まれつき二重まぶたの人は、挙筋腱膜の線維が眼輪筋を貫通し、まぶたの皮膚の皮下組織に付着しているという構造的な特徴があります。この繊維構造が、目を開ける際に皮膚を奥へと引っ張り込み、綺麗な二重の折り目を形成します。一方で、東アジア人の約半数にみられる一重まぶたの人には、この繊維構造が先天的に欠如しています。
「埋没法(非切開法)」は、この自然な二重の形成プロセスをシミュレートし、人工的に再現する術式です。メスで皮膚を切り開くのではなく、手術用の極細の医療用糸を用いて、「挙筋腱膜」または「瞼板」とまぶたの皮下組織を連結させることで、二重のラインを作成します。上まぶたの正常な組織構造を破壊することがなく、術後のダウンタイムが非常に早く、傷跡も外見上残らないという大きなメリットがあります。
しかしながら、埋没法には構造的な弱点も存在します。まぶたの開閉を何万回と繰り返すうちに、皮下組織に固定した糸が徐々に緩みやすいという点です。その結果、術後に二重のラインが薄くなったり、完全に消失したりするリスクがあり、これが埋没法の最大の課題とされています。
主な埋没法3種類の違いを一覧で確認
連続式(ループ式)の特徴
連続式(ループ式)は、1本の長い糸を連続してまぶたの組織に縫い込み(Baekら 2015)、広範囲で面として固定する手法です。ループ状に糸を通すため、目を開け閉めする際の張力が糸全体に分散されやすく、点留めと比較して二重のラインが長く持続しやすいという利点があります。また、糸の結び目が最小限で済むため、結び目が皮膚の下で目立つリスクも減らせます。
点留め(インタラプテッド式)の特徴
点留め(インタラプテッド式)は、複数の短い糸を用いて、それぞれのポイント(2点留め、3点留めなど)で独立して結び目を作る手法です。手術の工程が非常にシンプルで素早く終わる反面、まぶたを開ける際の力がそれぞれの独立した糸に局所的に集中してしまいます。特定の結び目が緩むと、その部分からラインが消失するリスクがあります。
挙筋法 vs 瞼板法——固定先の違い
挙筋法は、眼を開ける筋肉の延長である「挙筋腱膜」に糸を固定する方法で、生まれつきの二重の解剖学的な構造により近く、自然でダイナミックな二重の形成が可能です。瞼板法は、まぶたの裏にある硬い「瞼板」に固定する方法で、固定が強固になりやすくラインがパッチリと出やすいメリットがありますが、糸がまぶたの裏側に露出し角膜を傷つけるリスクがあります。
論文が示す「術式ごとの成績」——3術式比較研究の結果
852名の一重まぶたの患者を対象に行われた大規模な臨床研究(Yangら 2022)では、「3点埋没法(点留め)」「微小切開による3点皮下トンネル法」「切開法」の3つの術式で明確な成績の違いが示されました。
| 項目 | 点留め | 切開法 | 皮下トンネル法 |
|---|---|---|---|
| 二重消失率 | 5.88% | 0.74% | 0.58% |
| 術後の腫れ | 最も少ない | 最も多い | 中程度 |
| 痛みの強さ | 軽度 | 最も強い | 軽度 |
| 傷跡 | 中程度 | 最も目立つ | 最も目立たない |
| 患者満足度 | 3位 | 2位 | 1位(最高) |
単なる点留めは腫れが少ない反面、戻りやすさが約6%と高め。皮下トンネル法は埋没法でありながら切開法以上の持続力(0.58%)(Yangら 2022)を実現しています。
持続力・腫れ・修正しやすさ——3軸で選ぶ
- 腫れの少なさ優先なら「点留め埋没法」:ダウンタイムが短く、修正も比較的容易。ただし後戻りリスクが高い。
- 持続力優先なら「切開法」:半永久的な二重が作れるが、傷跡が残りやすく修正が困難。
- 良いとこ取りなら「皮下トンネル法・連続式などの進化型埋没法」:後戻り率1%未満(Yangら 2022)、傷跡も少なく、非常に高い満足度。
瞼の厚さ別おすすめ術式
まぶたの脂肪が多く皮膚のたるみが強い場合は、通常の埋没法では効果が不十分です。ROOF や眼窩脂肪が物理的障壁となるため、切開法や部分切開法、または脱脂を伴う埋没法が推奨されます。脂肪除去を併用することで糸の緩みを予防できます。
まぶたが薄く余分な脂肪が少ない方には、通常の埋没法や連続式、皮下トンネル法が非常に適しています。物理的な負荷が少ないため、非切開でも十分に長持ちします。
OLT法など新世代の埋没テクニック
「OLT法(Orbicularis-levator-tarsus fixation)」は、特殊な器具を用い、挙筋腱膜に水平方向、次いで瞼板前眼輪筋および筋膜に垂直方向に糸を通す多層・多方向の立体的な縫合技術です。筋肉の繊維に対して垂直に糸がかかるため、まばたき時の張力への抵抗力が劇的に向上します。
873名の患者を対象とした研究(Shiら 2022)では、平均11ヶ月(最長7年)追跡した563名において、二重のラインが消失したケースは0件(Shiら 2022)(驚異のライン消失率0%)。94%の患者が術後の仕上がりに満足しています(Shiら 2022)。
この記事のまとめ
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参考文献
- Baek J, Ahn J, Jang S, et al. Comparison Between Continuous Buried Suture and Interrupted Buried Suture Methods for Double Eyelid Blepharoplasty. Journal of Craniofacial Surgery. 2015 DOI
- Ma C, Lu F, Liu L. A Modified Double Eyelid Plastic Surgery Method: Continuous Buried Suture Method Accompanied by Simultaneous Correction of Mild Blepharoptosis. Aesthetic Plastic Surgery. 2018 DOI
- Shi et al. 2022. Orbicularis–levator–tarsus fixation suturing in buried suture double-eyelid blepharoplasty. JPRAS. 2022
- Yang et al. 2022. Clinical comparison of 3 different double eyelid surgeries. Ann Plast Surg. 2022
この記事を書いた人
中村 宏光 医師
Zetith Beauty Clinic 銀座・大阪・福岡
日本国内および国際学会での研究発表実績を持ち、Zetith Beauty Clinic全体の技術指導・教育にも携わる。解剖学的根拠に基づいた精密な美容医療を専門とし、一人ひとりの骨格や組織に合わせた自然な仕上がりを追求している。