正直に教えます——埋没法の持続期間、最新論文ではこうなっています。
二重整形の中で最も人気があり、手軽に受けられる「埋没法」。メスを使わず糸で二重を作るこの手法は、ダウンタイムが短く多くの支持を集めています。しかし、その反面、「いつかは取れてしまうのでは?」と不安に思う方も多いでしょう。
埋没法は一体どれくらい持続するのでしょうか?実は、ある大規模な最新研究では、一般的な2点留め埋没法の再手術率は全体で「22.3%(Okumuraら 2025)」に上るというデータが示されています。しかし、ただ不安になる必要はありません。手術の工夫や個人のまぶたの特徴によって、この再手術率は劇的に下げることが可能なのです。
この記事では、世界中の最新の美容外科学論文データを徹底的に分析し、埋没法が取れやすい人と長持ちする人の違い、そして持続期間を最大限に伸ばすための科学的な根拠に基づくアプローチを解説します。
埋没法の持続期間——最新論文のデータ
2点留め埋没法における再手術の現実
2025年に発表された大規模な後ろ向きコホート研究では、日本全国の105のクリニックで2点留め埋没法を受けた52,281人のデータから、600人(追跡期間最長4.5年)の経過が分析されました。その結果、糸の緩みを理由とした再手術の発生率は22.3%(Okumuraら 2025)(600人中134人)でした。全原因での再手術率は26.8%(600人中161人)に達しています。
年代によって再手術率は大きく変わる
年代別の糸の緩みによる再手術率:
最も再手術率が高いのは「20歳未満(41.0%)(Okumuraら 2025)」の若年層であり、最も持ちが良いのは「30〜39歳(12.0%)」の層でした。また、別のコホート研究(873人のアジア人患者、最長7年追跡(Shiら 2022))では、特定の縫合技術を用いれば二重ラインの消失が0人であったという長期持続データも存在します。
取れやすい人の特徴——あなたは当てはまる?
まぶたの脂肪(眼窩脂肪・ROOF)と皮膚の厚さが与える影響
まぶたが厚く腫れぼったい人は、埋没法が取れやすい傾向にあります。まぶたの内部にはROOF(眼輪筋後部脂肪)や眼窩脂肪と呼ばれる脂肪の層が存在し、これらの脂肪ボリュームが多いと、糸の周囲に強固な瘢痕(組織の癒着)が形成されるのを阻害する物理的な障害として働いてしまいます。
年齢に伴う皮膚と組織の変化
- 若年層(20歳未満): 肌の弾力性が非常に高く眼輪筋が柔らかいため、糸に対する反発力が強く働き、組織が糸を弾き返してしまうことが原因です。
- 高齢層(60歳以上): コラーゲンやエラスチンの減少で結合組織が弱くなり、糸を固定する「土台」のアンカー強度が低下します。
糸の種類で持続期間は変わる?——ダブルvsシングル比較
点留め式 vs トンネル法(連続式)の違い
852人を対象とした比較研究(Yangら 2022)(Yangら 2022)では、術後2年以内の再発率は以下の通りでした:
通常の点留めは比較的外れやすい一方、皮下にトンネルを作成してより強固に組織を連結させる手法を用いると、切開法よりも再発率を低く抑えられることが示されています。
糸の固定方向と強度(まばたきの力への抵抗)
従来の埋没法では「水平方向」に糸をかけることが多く、まばたきの動きに弱く緩みやすい原因となっていました。これに対し、挙筋腱膜・瞼板前眼輪筋・瞼板前筋膜の3層を垂直に固定する改良型縫合を行うと、6ヶ月以上追跡した563人において糸の緩みによる二重の消失は「0件」(Shiら 2022)でした。
脂肪除去(脱脂)との同時施行で寿命が伸びる理由
なぜ寿命が伸びるのか?
ROOFや眼窩脂肪は、糸をかけた部分に強固な瘢痕が形成されるのを邪魔する「物理的なバリア」です。この脂肪を取り除くことで、組織間にしっかりとした結合が生まれ、糸の力だけに頼らない構造的な安定性が得られます。
「取れたかも」と思ったときのサインと対処法
糸が緩み始めたサイン
- 二重のラインが薄くなる、浅くなる: くっきりとしていた食い込みがぼやけ始めます。
- 左右差の出現: 片目だけラインの幅が狭くなったり形が変わります。術前に左右差が1mm以上ある患者は、再手術率が42.7%(Chenら 2023)と非常に高いデータもあります。
対処法
- 脂肪除去(脱脂)の追加:まぶたの厚みが原因で緩んだ場合、再手術時に脂肪除去を追加して次回の持続期間を延長
- 固定点数や術式の変更:多点固定や連続縫合への切り替え、部分切開や全切開法への移行
長持ちさせるための日常生活の注意点
ハードコンタクトレンズの長期装用に注意
ハードコンタクトレンズの長期装用者は、コンタクトを外す際にまぶたを強く引っ張る動作を繰り返すことや、レンズの縁による慢性的な物理的刺激が原因で、まぶたの組織がダメージを受け、埋没法の糸の固定基盤も弱くなります。
まばたきと目を擦る動作
「花粉症などで目を強く擦る」「アイメイクを落とす際にまぶたを強くこする」といった行為は、糸の固定を直接的に破壊する行為に等しいため、極力避ける必要があります。
この記事のまとめ
- 再手術の確率は年齢で大きく変わる: 2点留め全体の再手術率は22.3%だが、20歳未満(41.0%)は特に取れやすく、30〜39歳(12.0%)が最も長持ちする。
- まぶたの脂肪が最大のバリア: 脂肪除去を同時に行うことで、再手術率を33.5%から17.0%へと約半減させることができる。
- 糸の掛け方で寿命は延ばせる: 点留め(再発率5.88%)よりも皮下トンネル法や垂直方向への多層固定法(再発率0〜0.58%)の方が長持ちする。
- 左右差やラインの薄れはSOSサイン: 目を強く擦る、ハードコンタクトを引っ張って外すなどを避け、ラインに左右差が出てきたら早めに医師の診察を。
埋没法についてご不明な点は、まずはお気軽にご相談ください。
参考文献
- Okumura et al. 2025. Age-Related Variations in Reoperation Risk from Suture Loosening in Two-Point Buried Suture Double Eyelid Surgery. Aesth Plast Surg. 2025 DOI
- Okumura et al. 2025. Effect of Upper Eyelid Fat Removal on Reoperation Rate and Long-Term Stability in Buried Suture Double Eyelid Surgery. Aesth Plast Surg. 2025 DOI
- Jung et al. 2018. The Double Thread Buried Nonincisional Blepharoplasty Technique. J Craniofac Surg. 2018 DOI
- Fan J, Low D. A Two-Way Continuous Buried-Suture Approach to the Creation of the Long-Lasting Double Eyelid: Surgical Technique and Long-Term Follow-Up in 51 Patients. Aesthetic Plastic Surgery. 2009 DOI
この記事を書いた人
中村 宏光 医師
Zetith Beauty Clinic 銀座・大阪・福岡
日本国内および国際学会での研究発表実績を持ち、Zetith Beauty Clinic全体の技術指導・教育にも携わる。解剖学的根拠に基づいた精密な美容医療を専門とし、一人ひとりの骨格や組織に合わせた自然な仕上がりを追求している。