糸リフトをしたのに「なんか引きつれた感じ」「かえって老けて見える」という相談をよく受けます。実は、リフトの引きつれの背景に加齢による骨格(構造)の変化が関係しているとする研究結果があります。

この記事では、糸リフトの引きつれが起こる本当の理由、加齢で顔の骨格がどう変わるかの論文データ、引きつれリスクの軽減に関する考え方、自然な仕上がりの可能性が示唆される骨格補正との組み合わせについて解説します。

「糸リフトに興味はあるけど、引きつれが怖くて踏み出せない」という方も多いでしょう。正しい知識を持って選択することが、後悔しない近道です。ただし、効果には個人差があります。

糸リフトの「引きつれ顔」はなぜ起きる?見落とされがちな盲点

糸リフトの引きつれは、術者の技術だけが原因ではありません。研究によると、より根本的な要因として骨格の変化が関係している可能性があります。

国際形成外科学術誌に掲載されたMendelson・Wongらの研究(Aesthetic Plastic Surgery, 2012)では、顔の骨格が加齢とともに特定の部位で縮小・後退することが、3D CT解析で示されています。

骨格の土台が変化しているにもかかわらず、皮膚だけを引き上げる糸リフトを行うとどうなるでしょうか。支えるべき骨格が後退した状態では、皮膚を引き上げても不自然な引きつれや凹凸が生じます。この研究は、「引きつれ顔」の背景にこうした構造的な不一致があることを示唆しています。

加齢で顔の骨格はこう変わる——3つの重要な変化部位と20代でのサイン

多くの方は「骨は一生変わらない」と思われがちですが、実際は違います。加齢による骨格(構造)の変化は、家の土台が変化するようなものです。

Mendelson・Wongらの論文では、3D CT解析による長期追跡データから特定の部位で骨の変化が確認されていることが報告されています。論文データによると、以下の3つの部位で特徴的な変化が起こります。

① 目の周り(眼窩)の縮小

眼窩(目のくぼみを囲む骨)は、内側上部と外側下部から縮小します。この変化により、目の下の脂肪が前方に押し出されて見えたり、眉の位置が変化したりします。

外側下部の変化は論文の被験者データでは40歳代から観察されており、比較的早期から影響があります。これが「老け目」「目の下のたるみ・クマ」の構造的な背景と考えられています。

② 上顎骨(マクシラ)の後退

上顎骨が加齢とともに後退すると、鼻翼(小鼻)基部や上唇の支持力が低下します。その結果、ほうれい線が深まりやすくなると臨床研究で示されています。「糸リフトでほうれい線が消えなかった」という声の背景に、この構造変化があります。

③ あご前方(プリジョウル)の骨の凹み

あご前方の骨が凹むことで、フェイスラインの崩れが起こりやすくなります。そのため、糸リフトでフェイスラインを引き上げても、骨の凹みがある部分は補いきれないことがあります。これが「糸リフトの効果が感じにくい」ケースのひとつです。

たるみ予備軍チェック:あなたの骨格変化は始まっている?

  • 鏡を見て、目の下にクマや脂肪の膨らみが見られるか?(眼窩の縮小の兆候)
  • ほうれい線が深く、鼻翼基部が平らに見えるか?(上顎骨の後退の可能性)
  • あご前方が緩やかに凹んでいるか?(プリジョウルの骨の変化)

これらのサインが見られる場合、20〜30代でも構造的な変化の初期段階かもしれません。専門医の評価をおすすめします。

糸リフトの引きつれリスクを軽減するための3つの考え方

論文の知見をもとに、どのような点を考慮すれば糸リフトの引きつれリスクの軽減につながる可能性があるか、3つの考え方をお伝えします。

ポイント1:カウンセリングで「構造評価」を受ける

最も重要なのは、骨格の状態を評価してくれる医師に診てもらうことです。先天的に骨格の突出が弱い方は、骨の変化による影響が早く・大きく現れやすいです。また、20〜30代でも早めのアプローチが予防的に有効です。

糸リフトの適応かどうかを、皮膚・脂肪・骨格の3層から評価することが、自然な仕上がりへの第一歩です。

ポイント2:「糸リフトだけで全て解決」という考えを避ける

「糸リフト=万能」ではなく、自分の顔のどの層に問題があるかを見極めることが重要です。一方で、糸リフトが最も効果を発揮するのは、骨格の支持がある程度保たれており、皮膚・脂肪のたるみが主な原因であるケースです。

関連記事:鼻整形で後悔しないために。名医を見つけるポイントと、失敗を防ぐ全知識

ポイント3:構造補正との組み合わせを検討する

骨の後退が確認される場合、ヒアルロン酸やPCL系フィラーによる構造補正・脂肪注入などを組み合わせることで、より自然な仕上がりが期待できます。この研究は、その可能性を示唆しています。

構造という「土台」を整えてから糸リフトを行うと、皮膚の引き上げ効果がより自然に現れやすいです。

「フェイスリフトだけでは限界」——論文が示す複合治療の重要性

論文データによると、フェイスリフトや糸リフトのような皮膚・軟部組織を引き上げる治療だけでは、骨格の変化という根本原因には対応しきれないと研究で示唆されています。一方で、骨格補正とリフトアップを組み合わせた治療では、改善の可能性が示唆されます。

ヒアルロン酸注射は、骨の後退で失われたボリュームを補うことで骨格的な支持を再建し、自然な若返りが期待できます。また、脂肪移植(オートロガス・ファット・グラフティング)は、失われたボリュームを自家組織で補う方法として注目されています(Strong et al., Plastic & Reconstructive Surgery, 2024)。

施術の選択肢については、施術メニュー一覧からご確認いただけます。また、糸リフトと類似する「皮膚の引き上げ」の考え方については、【経過写真あり】鼻整形の腫れ(ダウンタイム)は何日で引く?とあわせて、ダウンタイムの過ごし方も参考にしてみてください。

よくある質問

Q. ヒアルロン酸注射は骨格の老化にも効果がありますか?

骨の後退で失われたボリュームをヒアルロン酸で補うことで、構造的な支持を再建し自然な若返りが期待できます。

Q. フェイスリフトや糸リフトだけでは限界があると聞きますが、なぜですか?

骨格の変化という土台の問題を放置したままでは、皮膚を引き上げても不自然な仕上がりになりやすいためです。そのため、皮膚・骨格の両方を評価した複合的なアプローチが推奨されます。

Q. ほうれい線が深いのは骨格のせいですか?

上顎骨の後退が一因として研究で示唆されています。一方で、皮膚のたるみや脂肪の変位も関係します。そのため、両方を評価することが重要です。

Q. 何歳ごろから骨格の老化が始まりますか?

Mendelson・Wongらの論文では、眼窩外側下部の変化は40歳代の被験者から観察されており、その他の部位は一般的に60歳代以降に顕著になるとされています。ただし、先天的な骨格の状態によっては、より早期から影響が出る場合もあります。

Q. 骨格の老化に対応した治療にはどんなものがありますか?

ヒアルロン酸やPCL系フィラーによる構造補正、脂肪注入などが代表的です。担当医によるカウンセリングで適切な方法を選ぶことが大切です。

「私の場合はどうだろう?」と思ったら

無料カウンセリングを予約する

無理な勧誘はございません。お気軽にどうぞ。

まとめ

  • 糸リフトの引きつれの背景には、加齢による骨格変化という根本原因があります
  • 眼窩・上顎骨・あご前方など特定の部位で骨が縮小・後退することが研究で示されています
  • 自然な仕上がりには骨格の状態を評価した上で治療法を選ぶことが重要です
  • 骨格補正との組み合わせにより、改善の可能性が示唆されます
  • 糸リフトの適応かどうかは、皮膚・脂肪・骨格の3層から評価することが大切です

顔のたるみやほうれい線、フェイスラインの変化でお悩みの方は、まず「構造から見直す」カウンセリングを受けてみませんか。Zetith Beauty Clinicでは、加齢による構造変化の視点も取り入れながら、お一人おひとりに合った若返りプランをご提案しています。気になることがあれば、どうぞお気軽に無料カウンセリングをご利用ください。

中村 宏光

この記事を書いた人

中村 宏光 医師

Zetith Beauty Clinic 銀座・大阪・福岡

日本国内および国際学会での研究発表実績を持ち、Zetith Beauty Clinic全体の技術指導・教育にも携わる。解剖学的根拠に基づいた精密な鼻整形を専門とし、一人ひとりの骨格や組織に合わせた自然な仕上がりを追求している。

参考文献

  1. Mendelson B, Wong C. Changes in the Facial Skeleton With Aging: Implications and Clinical Applications in Facial Rejuvenation. Aesthetic Plastic Surgery. 2012 (DOI)
  2. Strong A, Rohrich R, Tonnard P, et al. Technical Precision with Autologous Fat Grafting for Facial Rejuvenation: A Review of the Evolving Science. Plastic & Reconstructive Surgery. 2024 (DOI)