糸リフトで問題が発生するケース|研究データに見る失敗パターン
顔のたるみやシワが気になる方に糸リフトが注目される一方で、術後に左右差・引きつれ(皮膚の凹凸)・糸の触知や露出・腫れや内出血の長期化といった合併症が発生し、満足できないケースもあります。

口コミでは「見た目が不自然」「効果がすぐに消えた」といった声が見られます。こうした不満は、適応(たるみの程度・皮膚の厚み)、糸の種類、挿入層のズレ、固定点の取り方など、術式と条件のミスマッチで起こりやすい傾向があります。
糸リフトと言っても全ての施術が同じ結果をもたらすわけではありません。たとえば、Savoiaらの研究(Savoia A et al., 2014)では、Happy Lift™を使用した施術の成功率を示しており、特定の条件下では効果的であることが確認されましたが、それが全ての状況に当てはまるわけではありません。
以下、論文で報告されている合併症と発生しやすい条件を解説します。
1. 避けるべきリスクとは?
後悔が起きやすいのは、「たるみの原因(皮膚の余り/脂肪量/骨格)に対して糸だけで十分に改善できる」と誤解したまま受けた場合です。糸リフトは"引き上げ"だけでなく固定・支持を狙う施術のため、適応外だと効果不足を感じやすく、逆に適応が合わない層へ入ると前述の合併症につながりやすくなります。

2. 留意すべき「3つの共通点」
共通点①:効果の限界を見誤ると「効果不足」になりやすい
糸リフトは、外科的フェイスリフトのように皮膚・SMASを広範囲に剥離して固定する治療ではないため、たるみが強いケースでは"引き上がり量"に限界があります。その結果、術後に腫れが引いた段階で「思ったより変わらない」「戻りが早い」と感じやすくなります。術前に"どこまで改善が見込めるか"を部位別(頬・フェイスライン・口元など)に確認することが重要です。

共通点②:適応選択を外すと合併症が起きやすい
Tongらの研究(Tong L, Rieder E, 2019)はスレッドリフトに関するレビューで、術式や糸の種類が複数にまたがるため、単一の満足度(例:95%)を一般化して示す文脈ではありません。むしろ、適応の見極め(たるみの程度、皮膚の厚み、組織の性状など)と、合併症として報告される各種イベントを前提に、患者選択と術式選択を行う重要性を論じています。
共通点③:糸の「入れる層」と「固定の取り方」で見た目トラブルが分かれる
Garveyらの研究(Garvey P et al., 2009)は、当時の旧世代の糸(Barbed suture/Contour Thread等)を扱った報告であり、現行の吸収性コグ糸とは素材・設計・手技が同一ではありません。しかし示唆として重要なのは、挿入層やベクトル設計、固定点の考え方が不適切だと、術後に"見た目に直結するトラブル"が起きうることです。現行技術でも、解剖に沿った層の選択とテンション調整が結果を左右します。
3. まとめ(後悔を減らすチェックポイント)
後悔を減らすために確認したいのは、①たるみの原因に対して糸リフトが適応か(効果不足になりやすい条件はないか)、②術後に起こりうる合併症とその対処方針、③使用する糸の種類と設計、④ダウンタイム中に起こりうる症状(腫れ・内出血・違和感)の説明が具体的か、の4点です。これらをカウンセリングで明確にした上で施術を検討してください。
※治療には個人ごとの結果やリスクがありますので、医師と十分な相談の上で決定してください。
この記事を書いた人
中村 宏光 医師
Zetith Beauty Clinic 銀座・大阪・福岡
日本国内および国際学会での研究発表実績を持ち、Zetith Beauty Clinic全体の技術指導・教育にも携わる。解剖学的根拠に基づいた精密な鼻整形を専門とし、一人ひとりの骨格や組織に合わせた自然な仕上がりを追求している。
参考文献
- Savoia A, Accardo C, Vannini F, et al. Outcomes in Thread Lift for Facial Rejuvenation: a Study Performed with Happy Lift™ Revitalizing. Dermatology and Therapy. 2014 DOI
- Tong L, Rieder E. Thread-Lifts: A Double-Edged Suture? A Comprehensive Review of the Literature. Dermatologic Surgery. 2019 DOI
- Garvey P, Ricciardelli E, Gampper T. Outcomes in Threadlift for Facial Rejuvenation. Annals of Plastic Surgery. 2009 DOI
- Savoia A, Accardo C, Vannini F, et al. Outcomes in Thread Lift for Facial Rejuvenation: a Study Performed with Happy Lift™ Revitalizing. Dermatology and Therapy. 2014 DOI