「術後1年で見た目年齢が約6歳若返る」——これはAIが算出した客観的なデータです。
本記事では、医学論文に基づくフェイスリフトの効果データと持続期間について解説いたします。
- 人工知能(AI)が測定したフェイスリフトの若返り年数(研究データ)
- 効果の持続に関わる「SMAS(筋膜)処理」の重要性
- 併用施術による効果の変化
- 長期追跡データに基づく効果持続期間
フェイスリフトの効果を長期間維持したいとお考えの方に向けて、権威ある医学論文のデータを基に、効果の持続性について詳しく解説します。
術式による若返り効果の違い
フェイスリフトの効果は、選択する術式によって異なることが研究で示されています。
Gibstein et al. (2021) は、フェイスリフトを受けた105名の女性患者(平均年齢58.7歳)を対象に、人工知能(AI)を用いて術後1年時点での「見た目年齢の若返り度」を測定する研究を行いました。
このAI(畳み込みニューラルネットワーク)による解析では、皮膚のみを引き上げる「スキンオンリー法」での若返りは平均2.95年という結果が示されました。ただし、AIによる年齢評価には個人差があり、評価基準や精度に限界があることを考慮する必要があります。
一方で、深部の組織を処理する「SMAS縫縮法(SMAS-plication)」では平均5.35年、余分な組織を切除する「SMAS切除法(SMAS-ectomy)」では平均5.85年の若返りが確認されています。
これらの数値は平均値であり、実際の効果には個人差があることをご理解ください。内部の筋膜処理を加えることで、若返り効果が向上する可能性があると報告されています。
効果持続に関わる「SMAS(表在性筋膜)」の重要性
フェイスリフトの効果持続において重要な要素は、SMAS層の処理方法です。それについては後ほど詳しく解説しますが、まずは「SMAS」の役割を理解することが大切です。
SMAS(Superficial Musculoaponeurotic System:表在性筋膜)とは、皮膚の奥にある筋膜の層を指します。顔のたるみは皮膚表面の問題だけでなく、このSMAS層や脂肪の下垂が複雑に絡み合って生じます。
皮膚だけを引っ張る手術では、不自然なツッパリ感が出るだけでなく、皮膚の粘弾性(伸びる性質)によって時間の経過とともに再びたるみが生じる可能性があります(Gibstein et al., 2021)。
ここからが重要です。
SMASを適切に処理することで、顔のボリュームが正しい位置に再配置され、皮膚への過度な緊張を避けた自然な仕上がりが期待できます。また、内部の張力が保たれるため、たるみの再発を防ぎ、効果持続の期間が延長される可能性があると考えられています。
MACSリフトと従来法の比較
"で、結局どれがいいの?"——そう思いましたよね。近年は多様な術式が登場しており、患者様の状態に応じた選択が求められます。
近年注目を集めているのが、耳の裏側まで切開を延長せず、垂直方向に組織を引き上げる「MACSリフト(Minimal Access Cranial Suspension)」です。
Buchanan et al. (2018) の研究では、MACSリフトは従来法と比較して手術時間が短く(平均165.3分対222.1分)、回復期間を短縮できる可能性が示されています。
しかし、全ての症例に適用できるわけではありません。Buchanan et al. (2018) や Chopan et al. (2019) の報告によれば、MACSリフトは皮膚のたるみが軽度〜中等度で、首周りの脂肪が少ない患者に適しているとされています。
首の脂肪が多く「もたつき」が強い場合や、重度の皮膚のたるみがある場合は、より広範囲の切開と皮膚切除を行う「従来式のフェイスリフト」が推奨されます。個人の骨格やたるみの状態に合わせた術式選びが、長期的な効果持続において重要な要素となります。
脂肪注入併用による効果の変化
若返り効果が「さらに2.1年分」追加される——これは、特定の施術を併用した際の研究結果です。
Gibstein et al. (2021) のAI解析によると、フェイスリフトに「脂肪注入(Fat grafting)」を併用した患者は、併用しなかった患者に比べて平均2.1年(5.88年対3.78年)の若返り効果の上乗せが見られました。ただし、これらの数値は平均値であり、個人差があることをご理解ください。
さらに、患者自身の満足度を測る指標(FACE-Q)を用いた調査でも、脂肪注入を併用したグループの方が「結果への満足度(78.1対69)」などで高いスコアを記録しています。
脂肪注入が重要な理由として、顔の老化は「組織の下垂」だけでなく、脂肪や骨の「ボリューム減少(萎縮)」が複雑に絡み合って進行することが挙げられます(Azoury et al., 2021)。
Strong et al. (2024) によれば、採取した脂肪をサイズごとに分類し、「マクロファット」や「マイクロファット」として深い層に注入することで、失われた立体感(頬の丸みなど)を再構築できる可能性があるとされています。
さらに、極小に加工した「ナノファット」には幹細胞や間質血管細胞群(SVF)が豊富に含まれており、これを真皮層に注入することで、肌の質感や弾力の改善、色素沈着の軽減が期待できると報告されています。
長期追跡データに基づく効果持続期間
ネットでは「フェイスリフトは数年で元に戻る」と言われることがありますが、実際の長期追跡データでは異なる結果が示されています。
Chopan et al. (2019) は、MACSリフトの長期的な効果について、最長8年間にわたる追跡調査において、従来法と同等の効果持続期間が維持されていることを報告しています。
また、脂肪注入を用いた治療について、Coleman (2006) の報告では、顔面への脂肪注入において術後11年7ヶ月が経過しても、有意なボリューム改善が維持されている症例が示されています。
Coleman (2006) はさらに、注入された脂肪が単にボリュームを保つだけでなく、周囲の皮膚の質(毛穴の縮小やシワの軟化など)を長期的に改善し続ける可能性について言及しています。
フェイスリフトの効果持続期間は一概に数年で終わるものではありません。適切なSMAS処理による「引き上げ」と、脂肪注入による「ボリューム補充」を組み合わせることで、長期間にわたり良好な状態を保つ可能性があります。ただし、効果には個人差があることをご理解ください。
カウンセリングで確認すべきポイント
美容医療の現場で、カウンセリングで最も多い質問がこれです。「先生、私の場合は何年くらい効果が持ちますか?」
その答えは、「あなたの骨格やたるみの状態に対して、どれだけ適切に手術を組み立てられるか」に依存します。
Strong et al. (2024) が指摘するように、誤った層への脂肪注入や不適切な処置は、輪郭の不整(デコボコ)や不自然な仕上がりを招くリスクがあります。
解剖学的な知識に基づき、患者様一人ひとりに合わせた「個別の治療計画」を立てることが、最適な結果を得るために重要です。
全ての患者様に同じ術式を提案するのではなく、たるみやボリューム減少の原因を正確に見極め、必要な技術を適切に組み合わせてくれる医師を選ぶことが大切です。
この記事のまとめ
- 皮膚だけでなくSMAS(筋膜)を処理することで、若返り効果と持続期間の向上が期待できる可能性がある
- MACSリフトや従来法など、自身のたるみや脂肪の状態に合わせて最適な術式を選ぶことが重要
- 脂肪注入を併用して顔のボリューム減少を補うことで、追加の若返り効果が期待できるというデータがある
- 適切な治療を組み合わせることで、効果は8年〜10年以上といった長期にわたって維持される可能性があると報告されている
気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。Zetith Beauty Clinicでは、医学的根拠に基づいたカウンセリングを行っております。
この記事を書いた人
中村 宏光 医師
Zetith Beauty Clinic 銀座・大阪・福岡
日本国内および国際学会での研究発表実績を持ち、Zetith Beauty Clinic全体の技術指導・教育にも携わる。解剖学的根拠に基づいた精密な鼻整形を専門とし、一人ひとりの骨格や組織に合わせた自然な仕上がりを追求している。
参考文献
- Stein M, Shah N, Harrast J, et al. Clinical Practice Patterns in Facelift Surgery: A 15-Year Review of Continuous Certification Tracer Data from the American Board of Plastic Surgery. Aesthetic Plastic Surgery. 2024 (DOI)
- Gibstein A, Chen K, Nakfoor B, et al. Facelift Surgery Turns Back the Clock: Artificial Intelligence and Patient Satisfaction Quantitate Value of Procedure Type and Specific Techniques. Aesthetic Surgery Journal. 2021 (DOI)
- Wan D, Small K, Barton F. Face Lift. Plastic and Reconstructive Surgery. 2015 (DOI)