「鼻づまり」と「低い鼻」の同時解決は可能?鼻中隔弯曲症の方が知っておきたいポイント

鼻の手術により鼻づまりの改善が期待される場合があることをご存知ですか?

  • 鼻中隔弯曲症と美容外科での鼻整形の同時治療が検討される理由
  • 機能(呼吸)と見た目を両立させるための併用治療の考え方
  • 論文データから見る術後の症状改善について報告される内容

「鼻を綺麗にしたいけれど、もともと鼻炎や鼻づまりがあって手術が不安…」そんな悩みを抱える方は少なくありません。

「鼻中隔弯曲症は耳鼻科で治すもの」だと思っていませんか? 実は美容外科でも重要なアプローチが可能です

カウンセリングで最も多い質問の1つがこれです。「先生、鼻筋を高くしたいんですけど、万年鼻づまりなんです。美容外科で一緒に治せますか?」

鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)とは、鼻の穴を左右に隔てる壁である鼻中隔(びちゅうかく:鼻の奥にある軟骨と骨の壁)が大きく曲がっている状態を指します。成長過程での骨と軟骨の成長スピードのアンバランスや、幼少期の軽微な外傷などが原因でこの壁に歪みが生じると、気道が狭くなり、慢性的な鼻づまりを引き起こす場合があります。

多くの方は「鼻づまり=耳鼻科の病気」と考えがちですが、鼻の機能(呼吸)と形態(見た目)は表裏一体です。鼻中隔が曲がっていると、外見上の鼻の曲がり(斜鼻:しゃび)や、鼻先の非対称性に影響する場合があります。

さらに、片方の鼻腔(びくう:鼻の通り道)が狭くなると、もう片方の下鼻甲介(かびこうかい:鼻の側壁にある空気の温度や湿度を調節するヒダ)が代償的に肥大し、結果的に両方の鼻が詰まってしまう悪循環に陥ることもあります。口呼吸が常態化することで、睡眠の質の低下や、のどの乾燥など全身の健康状態に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、美容外科で鼻の見た目を整える際にも、この内部の歪みを考慮に入れることがあります。機能疾患である鼻中隔弯曲症と、美容手術である鼻整形は、医師との十分なご相談の上で総合的にアプローチを検討することが重要です。

"で、結局いっぺんにできるの?"。

鼻中隔弯曲症の治療と美容鼻整形は患者様の状態によっては併用を検討できる場合がありますが、適応は個人差が大きく、医師による慎重な判断が必要です[1]。

鼻の機能的な問題と美容的な問題を同時に解決するアプローチは、医学的には「機能的鼻中隔鼻整形術(functional septorhinoplasty)」と呼ばれ、世界中で数多くの研究が行われています[2]。

耳鼻咽喉科での鼻中隔弯曲症の手術(鼻中隔矯正術)と美容外科での鼻整形にはそれぞれ異なる特徴があります。耳鼻科の手術では機能改善を主目的とし、曲がっている鼻中隔軟骨を取り除くのが一般的ですが、美容外科においてその軟骨は、鼻先を高くしたり形を整えたりするための材料として活用できる場合があります。

ただし、軟骨を移植材料として使用した後に行う修正手術(二次鼻整形)では、肋軟骨(ろくなんこつ:あばら骨の軟骨)を採取する必要が出てくるなど、身体的負担が大きくなる可能性があります。

また、鼻中隔軟骨は鼻全体の重みを支える「柱」の役割を果たしています。この柱を過剰に切除してしまうと、鼻筋が落ち込むサドルノーズ(鞍鼻)と呼ばれる変形を引き起こしたり、鼻の強度が低下したりするリスクが報告されています。

どちらの治療法にもメリット・デメリットがあるため、患者様の症状、希望、全身状態を総合的に評価し、医師と十分にご相談いただくことが重要です。効果には個人差があり、必ずしも期待した結果が得られるとは限らないことをご理解ください。

術後スコアの改善?論文データが示す機能改善の可能性

インターネットの口コミでは「美容目的の手術と一緒にすると鼻の機能が悪化する」といった不確かな声も見受けられますが、医学論文では症状の改善が期待される場合があることが報告されています[3]。

複数の研究において、特定の修正術を行った症例で鼻閉塞症状の改善傾向や、術後の呼吸機能に関する客観的評価について検討されています[3]。

ただし、これらの研究結果は限定的な症例数での報告であり、すべての患者様に同様の効果が得られるとは限りません。個人差が極めて大きく、症状の程度や手術方法によって結果は大きく異なります。また、手術には感染、出血、瘢痕形成、鼻の形状変化、嗅覚障害などのリスクも伴います。

治療を検討される際は、これらのリスクと期待される効果について十分にご理解いただいた上で、専門医とよくご相談ください。効果には個人差があり、改善を保証するものではないことを予めご了承ください。

鼻の曲がり(斜鼻)を真っ直ぐにするには「中隔」が鍵?

曲がった鼻(斜鼻)の修正においては、術直後は真っ直ぐで綺麗に見えても、半年、1年と時間が経つにつれて再び鼻が曲がってしまうケースがあります。これは、鼻を構成する軟骨や組織が持つ「元の形に戻ろうとする力(記憶)」や、内部の傷跡が治る過程での収縮(瘢痕拘縮:はんこんしゅうしゅく)が原因です。

形成外科領域の研究では、「真っ直ぐな鼻への鍵は、真っ直ぐな鼻中隔である(the key to a straight nose is a straight septum)」とする見解が示されています[4]。

表面的な軟骨移植(グラフト)や骨を少し削るだけでは、根本的な原因である鼻中隔の曲がりや、それを引っ張る内因性・外因性の力(筋肉や靭帯の引張力など)に対処できない場合があります。

鼻中隔をオープンアプローチ(鼻柱という鼻の間の柱を切開し、内部を直視しながら行う手術法)によって処理し、必要に応じてスプレッダーグラフト(中隔と外側軟骨の間に挟み込む軟骨)や、バッテングラフト(鼻の側壁の崩壊を防ぐための軟骨移植)などを用いて内部のバルブ(鼻腔内で最も空気抵抗が大きい狭い部分)を補強・拡張することで、見た目の改善と呼吸のしやすさの向上が期待される場合があります。ただし、手術結果には個人差があり、完全な矯正が困難な場合もあります。

曲がった鼻の修正における様々なアプローチについて検討した研究では、患者様の状態に応じた治療選択の重要性が示されており、必ずしも全ての症例で満足のいく結果が得られるとは限らないことが報告されています[4]。

でも、話はそう単純ではありません。

鼻中隔弯曲症の改善と美容鼻整形を両立させるためには、どのクリニック、どの医師を選ぶかが結果を大きく左右します。

機能障害を伴う鼻整形は、単なる美容手術ではなく「再建的鼻中隔鼻整形術(reconstructive septorhinoplasty)」として、極めて高度なアプローチと総合的な評価能力が必要とされます。

例えば、鼻の中には空気の抵抗を調整する「鼻バルブ(nasal valve:内鼻バルブおよび外鼻バルブ)」と呼ばれる微細かつ重要な領域があります。鼻中隔弯曲症の手術を行う際、この鼻バルブの力学的な構造を理解せずに軟骨を過度に切除したり操作したりしてしまうと、吸気時に鼻の側壁がペコッと凹んでしまい、かえって鼻呼吸が悪化する(鼻バルブ狭窄)恐れがあります。

そのため、クリニック選びの際は、表面的な見た目のデザイン性だけでなく、医学的根拠(エビデンス)に基づいた機能面での評価をしっかりと行ってくれるかどうかが重要な判断基準となります。

術前のカウンセリングにおいて、触診や視診だけでなく、内部の状態(鼻中隔の弯曲の程度、鼻甲介の肥大の有無、鼻バルブの強度など)について解剖学的な視点から的確な説明があるかをチェックしてみてください。機能と美しさの両方を叶えるためには、あなたの鼻の構造を正確に読み解く診断力こそが、最も重要な要素なのです。ただし、どのような高い技術を持つ医師であっても、完全な機能改善や美容効果を保証することはできないということもご理解ください。

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この記事のまとめ

最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 鼻中隔弯曲症の治療(機能改善)と美容鼻整形(審美性の向上)は患者様の状態によっては同時治療を検討できる場合があり、軟骨を有効活用できるメリットがありますが、適応は個別に慎重な判断が必要です
  • 適切な手術により鼻づまりの改善が期待される場合がありますが、効果には大きな個人差があり、改善を保証するものではなく、リスクも伴います
  • 曲がった鼻(斜鼻)の根本的な改善には、表面の調整だけでなく土台である鼻中隔へのアプローチが重要とされていますが、完全な矯正が困難な場合も多くあります
  • 機能(呼吸)と見た目(美しさ)の両立には、鼻内部の微細な解剖学的知識と高い技術力を持つ医師による総合的な評価が重要ですが、どのような治療でも限界があることをご理解ください

気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。Zetith Beauty Clinicでは、医学的根拠に基づいたカウンセリングを行っております。

参考文献

  1. Brown S, Brown T, Rohrich R. Clinical Applications of Tranexamic Acid in Plastic and Reconstructive Surgery. Plastic & Reconstructive Surgery. 2024 (DOI)
  2. Ishii L, Tollefson T, Basura G, et al. Clinical Practice Guideline: Improving Nasal Form and Function after Rhinoplasty Executive Summary. Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2017 (DOI)
鉄 鑠

この記事を書いた人

鉄 鑠 医師

医療法人社団SUNSET 理事長 ― Zetith Beauty Clinic 銀座・大阪・福岡

解剖学的根拠に基づいた鼻整形を専門とし、年間症例数は業界トップクラス。構造的支持を重視した術式設計と、長期安定性を追求するアプローチで知られる。