二重埋没法の持続性|何年持つ?取れやすい人の特徴と対策
1. はじめに:埋没法のメリットと課題
「埋没法は取れやすいから、結局切開法しか選択肢がない」と考えている方も少なくありません。

実際には、研究報告により従来の認識が見直されています。従来の埋没法で19.3%であった二重消失率が、新しい手法では8.6%まで低下したという報告もあります。
二重まぶたを形成する埋没法は、皮膚を切除しないため、低侵襲で手術時間が短く、術後の腫れが少なくダウンタイムが短いという多くの利点があり、アジア圏で非常に人気のある手術です[1-4]。しかし、従来から二重のラインが消失(後戻り)しやすいという課題があり、長期的な持続性を得るためには切開法が必要だと考えられがちでした[3, 5, 6]。
では、なぜ一部の人は長持ちして、他の人は早く取れてしまうのでしょうか?その答えを、医学研究から紐解いていきましょう。
2. 縫合技術による持続性の向上:連続埋没法 vs 結紮(単結節)埋没法
埋没法の持続性を左右する重要な要因は、「縫合方法」にあります。

従来の考え方では「埋没法は取れやすいもの」でしたが、縫合方法の改良により状況に変化が見られています。
- 結紮(単結節)埋没法(Interrupted method): 従来の手法で、3箇所の小さな切開部から独立して糸を留める方法です[7]。この方法は固定箇所が少ないため、二重ラインの消失率が高くなる傾向があるとされています[8, 9]。ある研究では、後戻りによる二重消失率が19.3%であったと報告されています[10, 11]。
- 連続埋没法(Continuous method): 1本の糸を使用して、複数箇所で真皮と瞼板を連続的に縫合し、皮下を通して折り返す方法です[12]。皮膚と瞼板が6箇所などで固定されるため、より強力で永続的な癒着が形成され、二重の消失率が8.6%まで低下したという報告があります[9-11]。また、結び目が外側の1箇所のみとなるため、結び目の露出などの合併症も少ないとされています[13, 14]。
このように、縫合方法の改良により失敗率の低下が報告されています。
3. 往復連続埋没法(Two-way continuous buried-suture)の有用性
「それでもまだ8.6%は取れるということですね。」という疑問もあるでしょう。

そこで開発されたのが、さらに進歩した「往復連続埋没法」です。この手法について、詳しく解説していきましょう。
7〜9箇所の微小な切開孔(約1mm)を設け、1本の糸で真皮と瞼板表層を波状に連続縫合し、さらに逆方向へ折り返して縫合する「往復連続縫合」の手法も報告されています[15-17]。この手法により、次のような効果が期待されます。
- 持続性の向上: より強固な固定力により、長期的に自然な二重ラインを維持できる可能性があります[16, 18, 19]。
- 角膜損傷リスクの軽減: 糸を瞼板の全層を貫通させず表層のみに留めること、そして両端針(ダブルアーム)ではなく1本の糸(シングルアーム)を使用することで、角膜へのダメージリスクを軽減できる可能性があります[20-22]。
ただし、手法の改良だけでは説明できない現象もあります。同じ術式でも、なぜ一部の患者さんでは早く取れてしまうのでしょうか。その要因の一つが、次に説明するまぶたの構造にあります。
4. 上眼瞼の脂肪除去(ROOF・眼窩脂肪)がもたらす効果
再手術率の低下が報告された要因とは

縫合方法に加えて、まぶたの脂肪(ROOFや眼窩脂肪)の除去が、二重の持続性に寄与することが4.5年間にわたる追跡研究で報告されています[23-25]。
「なぜ脂肪を取ると持ちが良くなるのでしょうか?」そのメカニズムについて説明します。
まぶたが厚く脂肪が多い場合、その組織のボリュームが物理的な障壁となり、糸による組織間の確実な癒着を妨げる要因になるとされています[26-28]。
実際の研究データでは、どれほどの差があるのでしょうか?報告されている結果をご紹介します:
- 再手術率の低下: 脂肪除去を行わなかったグループの再手術率が33.5%であったのに対し、埋没法と同時に微小な切開孔から脂肪除去を行ったグループでは17.0%まで低下したという報告があります[24, 29, 30](対象者数120名、平均追跡期間4.5年、p<0.05で統計学的有意差あり)。
- 組織定着の促進: 脂肪を除去することで、解剖学的な隙間が減り、強固な瘢痕(癒着)形成が促される可能性があります[31]。また、血管が豊富な眼窩脂肪を取り除くことで術後の浮腫みが早く引き、早期の組織安定化にもつながる可能性があります[32]。
- 注意点: 脂肪の過剰な切除は、将来的なまぶたのくぼみ(hollowing)や下垂を強調するリスクがあるため、患者の解剖学的な状態を見極め、突出している脂肪のみを控えめに除去することが重要です[33, 34]。
このように、脂肪除去により再手術率の低下が報告されています。
5. 結論
「結局、どの方法を選べばいいのでしょうか?」多くの方が抱くこの疑問に、医学的根拠に基づいてお答えします。

埋没法による二重形成は、単に糸を留めるだけでなく、「連続縫合による固定力の強化」と「適切な脂肪除去による癒着阻害要因の排除」を組み合わせることで、持続性の向上が期待されると報告されています[9, 18, 35]。
新しい手法により、従来の「埋没法は取れやすい」という認識に変化が見られています。解剖学的な条件に合わせた術式の選択が、美しく自然な二重まぶたを長持ちさせる重要な要素となります。
あなたのまぶたの状態に最適な選択肢について、専門医とじっくり相談してみてはいかがでしょうか。